熱処理と熱処理技術のHP

熱処理関連HPのインデックス

鉄鋼はなくてはならない金属です。 その性能を画期させるための熱処理も重要です。このHPでは、鉄鋼の熱処理について取り上げています。

鋼の熱処理へのリンク

鋼の熱処理について、熱処理の理論、材料、作業、設備、検査・試験などを、教科書的にならないように、そして、現場的な内容を織り込んで広範囲に説明しています。

それぞれが長い文章になっています。パソコンなどの大きな画面で読んで頂くのがおすすめです。 また、熱処理用語については、下の「熱処理用語の解説」で用語別に説明しています。

   →「鋼の熱処理」Indexページへ


ソルトバス熱処理へのリンク

ソルトバスは、溶融塩を使う熱処理設備です。高速度鋼や特殊な熱処理ができることで使われていましたが、維持管理の難しさなどで、真空炉にその座を譲り、消えゆく運命にある熱処理設備です。

   →「ソルトバス熱処理」Indexページへ 


熱処理用語へのリンク

INDEX(目次ページ)では、熱処理用語を「あいうえお順」で解説しています。

   →「熱処理用語」Indexページへ


熱処理ブログへのリンク

熱処理でよく質問を受ける内容や知っていると役に立ちそうなことを取り上げて説明しています。

   →記事一覧のページへ


金属せん断刃物へのリンク

金属せん断刃物の製造や基礎的な事項の説明をしています。 塑性加工で重要なせん断技術の基礎は昭和年代に確立されたもので、それが今でも生きています。

現在も、機械刃物や工具の寿命延長は全産業において望まれています。寿命延長を考えるには、せん断理論のみならず、材料、熱処理の知識が不可欠です。それらの基礎を全般的に取り上げて説明しています。

   →「せん断刃物」Indexページへ


【お願い】
このHP記事に関するお問い合わせは、こちらのページの注意事項をご覧いただき、専用のメールフォームをご利用ください。

なお、このHPの内容を書くにあたって、第一鋼業(株)様より協力をいただいています。しかし、第一鋼業様との関係はありませんので、このHP記事に関する質問や問合せを第一鋼業様にすることがご遠慮ください。
各ページには第一鋼業様のHPへのリンクがあります。熱処理依頼・問い合わせ、製品や加工の発注などは第一鋼業の担当者様が応対しますので、そちらを利用ください。

前書きにかえて:鉄鋼は生活や産業に最重要な金属

若い方には興味が薄いかもしれませんが、第2次世界大戦後には鉄鋼は「産業のコメ」と呼ばれて日本の復興と発展に大きく貢献してきました。

現在においても、鉄鋼製品は金属製品の中では最も多用されている金属です。 

日本は、1970年代に粗鋼生産(溶鉱炉から出る鉄の量)が世界第1位になり、その後、1996年以降、中国に世界一の座を明け渡しました。

しかしその後も、日本国内の生産量はずっと1億トン前後で変わっておらず、現在も世界3位の粗鋼生産量で、日本のみならず世界の国を支えています。

全鉄鋼の22%でこのHPの熱処理が関係している

2022年の例では、粗鋼年間生産量は8785万トンで、その約78%は特に熱処理に関係しない、建材や橋梁などに使われる「普通鋼」と呼ばれる鉄鋼製品です。

だから、このHPで説明する内容の熱処理が関係するのは、年間生産される鋼材のうちで、約22%の鋼材で、全体量から言うと、熱処理をする鋼材は少ないのですが、多くの鉄鋼製品を加工するための工具や機械の部品の熱処理は重要です。

さらに、下に用途別の鉄鋼製品の生産割合を示るように、工具に使われる工具鋼や高速度鋼などは、生産量のごく一部ですが、その熱処理は非常に重要です。

熱処理が必要な鋼材全量の約半分が機械部品や自動車部品等になる「機械構造用鋼材(SC材やSCM材など)」で、この熱処理も基本的な内容が多くて重要ですから、機械構造用鋼の熱処理説明も省くことができません。

鉄鋼の熱処理とは

鉄鋼の熱処理とは鋼の 『温度と時間とその変化度合いを操作して目的の性質を引き出す操作』をいいます。

温度や時間は、品物のサイズや形状を考慮することが必要なために、やり方や条件が変わります。

しかし、いろいろな大きさについての説明は大変なので、ほとんどは、小さな試験片を使った熱処理の説明しかできません。

つまり、小さな試験片のデータから大きな品物を考えないといけないのですが、これが熱処理を分かりにくくしているようです。

小さな試験片のデータから、実際の品物の特性の引き出し方を学んでいくのですが、それもあって、このHPでは、教科書的な書き方だけでなく、一般の書籍でほとんど説明されていない「現場の熱処理」を含めることで、実際の熱処理について感じていただくようにしています。


熱処理資料の多くは1950年前後の古いものです

このHPで紹介している熱処理の基礎資料の多くは昭和年代のものです。

日本の鉄鋼産業が急成長した時期に作られた資料が主体になっています。

でも、古くても、基本的な考え方や熱処理による特性変化などは変わらないので、現在でもそれらが生きています。

もちろん、現在の製鋼技術や鋼材品質は昭和年代のものとは比べ物にならないほどに高品質になっており、熱処理後の鋼材特性も当然向上していますし、現実的には、示されたデータと乖離するものもあります。

だから、データは結果の数値の絶対値を見るのではなく、温度・時間・速度などの熱処理要素による変化を読み取ることが必要になります。

さらに言うと、熱処理の基礎的な研究は昭和後期以降はあまり進展していません。

そして、今後も、大きくこのHPに示したデータが書き換えられることはなさそうです。

いまだに人の技量に頼る部分も多い

今日では、コンピュータ利用や自動化も進みましたが、熱処理はまだまだ、人が関与することが必要な業態です。

企業的には、標準化やパターン化などが要求され、その方向に進んでいますが、それは、ともすれば、「ベストな熱処理」から離れていきます。

ベストな熱処理とは、その品物に対する目的の特性がフルに発揮される状態の熱処理です。

鉄鋼の熱処理では、品質に影響するファクターがたくさんあって、それを取捨選択して、ベストではなくても最良の状態にするのは、人です。 

例えば、品物の大きさで特性が変わるのですが、細かいデータなどはないので、どうしても、人の技量による部分が外せません。

多くの熱処理企業は、人の育成の一つとして、熱処理技能士などの公的資格の取得を進めています。

熱処理品質を支えるのは、最終的には設備ではなく、技術や技量です。

熱処理は円熟した加工技術

私(このHPの筆者)は1970年代に、鉄鋼熱処理と金属せん断刃物を作る第一鋼業(株)【本社は大阪市】に入社し、40年以上にわたって材料と熱処理などに関わる仕事をしてきました。

その間に、第一鋼業(株)が保有する多くの資料をもとに、第一鋼業の要請や協力で2003年頃から熱処理をHPなどで紹介してき多のですが、当時は業務用コピー機の画質も良くなく、もちろん、電子機器も不十分な頃の資料も多くて、このHPにも醜い資料をそのまま掲載しているものもあります。

文献の出所もはっきりしないものが多いのです。 

ただ、近年に販売されている書籍では、一部のデータを見やすくしたものが掲載されています。

もしも、熱処理をじっくり勉強したい方は、下の参考書籍(熱処理技能士のためのテキスト:4,180円や熱処理ガイドブック:4400円など)をみていただくのがいいでしょう。

Amazonや楽天でも販売されていますが、できれば、大型書店で実物を見て購入するのがおすすめです。

 

→Amazonのページで見る熱処理関係の本

→楽天のページで熱処理関係の本を探す


現場の熱処理では教科書(書籍)通りでないことが多い

上にも書いていますが、小さなテストピースで熱処理したものと、実際の製品の熱処理は当然違います。

例えば、熱処理中に品物が割れてしまう危険があれば、どうしても教科書通りにできないことも出てきます。

そこで、このHPでは、現場の熱処理とテストピースの熱処理との違いを紹介したり、「生の熱処理」を感じていただくために、実験やシミュレーションした独自の図表などで、できるだけ熱処理の疑問の軽減に努めています。

ただ、このHPは個人的な文書ですので、問題や疑問も残ると思いますから、質問などはこちらのプライバシーポリシーページのメールフォームをご利用して問い合わせください。(もちろんすべてにはお答えできませんことをご了承ください) 

さらに、このHPの内容は第一鋼業さんとは関係ありませんので、このHP内容については、第一鋼業さんへの問い合わせはしないようにお願いします。

第一鋼業さんは、特殊な品物の加工や熱処理実績もあるので、実際にお困りごとがあれば、第一鋼業さんのHPから問い合わせていたくと相談に乗っていただけるでしょう。(サイドメニューの第一鋼業さんのバナーにリンクをつけています)


熱処理設備はハイテク化したが熱処理の考え方はローテク

現在では、ある鋼種の機械部品を**の硬さにしたいということであれば、炉(加熱設備)のタッチパネルやパソコンなどに表示される条件や選択肢を選んで、炉(加熱設備)の前に品物を置いてスタートボタンを押せば、数時間後には出来上がって炉から出てくるという状態までパターン化や自動化されています。

もちろんそこには、1950年代の熱処理技術が基本になっているのですが、平たく言えば、熱処理理論を知らなくても熱処理ができてしまいます。

でも、熱処理の基本がわかっていないと、その製品が最良の状態なのかどうかを考えたり、早期破損などの異常が起きたときの対策や再発防止などに対応できません。

そのために、少なくとも機械設計者や技術者は熱処理を知ることが大切だと考えています。

今、熱処理現場では、急激に「標準化」が進んでいます。 

標準化は、企業に与える利益も大きいのですが、反面、熱処理従事者が改善改良を積極的にしない傾向を生み出すことは否めません。

ここでは、材料や熱処理の真髄を理解し、寿命対策や問題処理のために少しでも役立てればいいと考えて今後もこのHP を運用していきたいと考えています。

プライバシーポリシー : プライバシーポリシーとメールフォームのページ



(来歴)R1.8見直し R1.10 CSS変更  R3.10全面見直し  確認R7.12月 


Amazonの熱処理関連の本

第一鋼業のHPへリンク
第一鋼業のHPにリンク
関連記事へのリンク
熱処理用語の解説のページへ

ソルトバス熱処理のページへ

知っておくと便利な熱処理のページへ

金属せん断刃物についてのページへ