熱処理用語の解説

結晶粒の粗大化(けっしょうりゅうのそだいか)[k43]

鉄鋼の熱処理では、主に、Ac3(鉄鋼の変態点)をはるかに超える温度で長時間加熱した結果、オーステナイト結晶粒が大きくなることをいいます。

これは、結晶粒度番号が小さくなることをいい、例えば、通常の加熱ではNo.7の粒度のものが No.5になるというように、結晶粒が大きくなると粒度番号の数字は小さくなります。

結晶粒度と降伏点の関係図結晶粒度と衝撃値の測定例

(雑誌 熱処理37巻・ふぇらむNo.10から引用)


上左は結晶粒が大きくなる(粒度番号が小さくなる)と下降伏点が低下している例で、上右は、SKD6の焼入れ温度を上げたときの衝撃値の低下度合いが示されています。

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一般的には、結晶粒が小さい方が機械的性質は優れます。

実際の熱処理ではこのような高温で焼入れすることはしませんが、いずれにしても焼入れの際には、結晶粒を粗大化しないように、鋼種ごとに指定された焼入れ温度範囲を超えないように加熱しなければなりません。

もしも焼入れ時に高温に上げてしまって結晶粒が粗大化した場合は、熱処理では改善できませんので、その場合は、再鍛造する必要があります。

一部の書籍で、完全焼なましをすることで結晶粒が小さくなるという説明がありますが、これは、大きくなった結晶粒の結晶粒界(正しくは、亜結晶粒界)に新しい結晶が生まれて、あたかも結晶粒が微細化されたように見えるだけで、ほんとうの意味の微細化ではないので、これを安易に考えないようにしましょう。


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(来歴)R1.8 見直し  R2.4 CSS変更  最終確認R6.1月

用語の索引

あ行 あいうえお
か行 かきくけこ
さ行 さしすせそ
た行 たちつてと
な行 なにぬねの
は行 はひふへほ
ま行 まみむめも
や行 やゆよ
ら行 わ行 らりるれろわ

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